WORKS
ASIBAがこれまで手がけてきたすべてのプロジェクトです。若手クリエイターを支援するインキュベーションから、企業や行政との共創、自社で立ち上げた事業まで。私たちがどんなことを考え、かたちにしてきたのか、活動の全体像をまとめています。

解築停留所 @高島第七小学校
解体が決まった廃校に、記憶をどう受け継ぐか。 2025年、高島平団地に隣接する旧高島第七小学校の解体が決まった。1979年に開校し2007年に閉校、18年間活用されないまま残っていたこの校舎に、最後の時間をともに過ごそうとする人々が集まった。「やっぱり寂しいですね」と呟きながら、卒業生が教育目標の貼り紙を手に取る。「解築停留所」は、材を譲り、床をほどき、廃校に泊まり、作品をつくる。消えゆく場所への応答の記録だ。解体を終わりとしてではなく、材と記憶が地域に受け継がれる始点として捉え直す。

YOHJOH (Kameido)
都市の流動性、社会との距離感 成長時代の躯体が余っていく。古代ローマのコロッセオが、時代の流れとともに要塞や集合住宅へと姿を変えたように、20世紀の建築時代が残した「ビル」という遺産は、21世紀の解築時代の大地となる。僕らは目の前に広がる都市の骨格にしがみついて寄生する。 数年後に解体が予定されている亀戸の空きビルを「開拓」し、それまでの暫定利用という形でASIBAの新拠点をつくる。ここでは、職住近接、利用者と設計者の一致、シェアではなく流動的な所有による<個>の定着といった実践や、社会から守られた「制作の場」と社会へと接続するための「実証の場」の共存を掲げて、クリエイティブ・アントレプレナーが集い、イマを問い直す。

暗渠商店街 U35実践アイデアコンペティション
駒込駅周辺の5つの商店街の下に、かつて谷田川が流れていた。川は暗渠となって地表から消えたが、道の蛇行や地形のわずかな起伏に、その痕跡は今も残る。 「このままでは街の動きが止まってしまう」。田端銀座に隣接する町会の人々が抱いたその危機感を出発点に、暗渠を軸に商店街群を「面」として捉え直し、その未来像を問うアイデアコンペティションを設計した。「まきコンペ」連携のもと、アイデア提案者を地域に巻き込みながら、身近ながらも長期的な視座で種をまいていく。全国から59作品から、まちあるきワークショップ、住民との構想会議、公開審査を経て9組が選出され、現在「ANKYOBATION」として実装フェーズへ移行している。

Towards Creative Entrepreneurship ― クリエイティブ領域における社会実装の可能性、その方法論を問う1dayカンファレンス
「クリエイティブは社会を動かせるか」 その問いを軸に、ASIBAと@カマタが共催した1Dayカンファレンスが「Towards Creative Entrepreneurship」だ。建築・デザイン・アート領域の実践を、経済合理性だけでは届かない領域へどう接続するか。「製作しつづける環境をデザインする」「動かない社会をどう動かすか」「新たなクリエイティブ・エコシステムを考える」の3セッションを軸に、デザイナー・アーバニスト・建築家・キャピタリスト・シンクタンクなど異なるポジションの実践者が一堂に会し、その可能性と方法論を一日かけて問い直した。

ASIBA Creative Incubation Program 3期
クリエイティブ領域の若手プレイヤーを対象とした、4ヶ月間の伴走型プログラム。第3期となる今回は約12組のチームが参加した。「つくりたいモノ」を純粋につくることが難しくなっている現代において、社会の期待や既存の枠組みにとらわれず、一人ひとりの内発的な動機から生まれたプロジェクトの実現と事業化を目指す。年齢や領域の近いメンター、多様な企業・行政パートナーとの共創を通じてプロジェクトを推進し、合宿での集中的な議論や、成果を発表する最終展示「Demo Week」を実施した。次世代のつくり手たちが「つくりたいモノをつくること」と「事業として社会に広げること」の両立に挑む。

Living Lens: 生き物とともにつくる都市デザイン入門
生き物の視点から都市空間を捉え直す全4回のデザインリサーチプログラム。「人間中心視点の問題解決」への違和感を起点に、都市をコントロール可能な対象として管理するのではなく、複雑な生態系といかに共生していくかを考える。生き物の視点(Cross Species Design)から都市空間を問い直すべく、多様な専門家を招き、生態学や多元世界の思想を建築やプロダクトデザインへと接続する議論を展開した。座学だけでなく、フィールドワークを通じて生き物との関わりを身体的に体験し、都市に対する私たちの「認識」そのものを更新することを目指した。

旬の解体材デモオークション 2025秋
廃棄物と資材を隔てる「価値」とはなんなのか。 竹中工務店の「サーキュラー支店展」最終日、ASIBA・ReLinkが企画した「解体材デモオークション」はその問いを正面から問う試みだった。全国の解体現場から救い出された10点の部材、オフィスのシンク、洋館の机の天板、昭和期の型板ガラスなどを前に、参加者はそれぞれの「使い方」を考え、値札を貼った。定価のないモノに価格をつけることは、普段気に留めることのない建築エレメントに想像を働かせることである。ゴミと商品のあいだ、交換価値と使用価値のあいだ、解体とリユースのあいだを模索した。

AGC × ReLink:ガラスアップサイクルワークショップ in 諏訪
半永久的にリサイクル可能なはずのガラスが、大量に廃棄されている。 AGC・Relinkとの共催で行われた本ワークショップでは、廃棄予定のガラスを資源として捉え直し、参加者自身の手で溶解・成形するプロセスを体験した。ガラスは思うようには溶けず、かたちにならない。温度や力加減を手探りで調整しながら、何度も試しては失敗し、少しずつ技術を体得していく。そうした地道な試行と好奇心を支える工房という場のあり方、そしてモノの所有から循環への転換を、リユースやシェアの発想とも重ねながら考える機会となった。

記憶のカメラ
近年、東京近郊の街に再開発の波が押し寄せている。多くの人の記憶や思い出が詰まった飲み屋街やアーケードが、㎡単価をもとに自動生成されるような高層マンションに建て替わっていく原因のひとつは、私たちが情緒的価値を統計化できていないからではないか。 地域住民の主観的情報が蓄積されたデジタルツインの構築を目指し、渋谷区笹塚・幡ヶ谷・初台を東西に貫く水道道路沿いで、街の記憶を収集し、インクルーシブなメディアであるラジオとして編み直す参加型ワークショップを実施した。写真撮影と同時に30秒間の音声を自動録音する「記憶のカメラ」アプリを開発し、住民の個人的な語りを場所とともに記録する仕組みを設計した。集まった断片的な記憶をもとに、AIが2040年のコミュニティラジオ台本の叩き台を生成する。ただしAIのアウトプットはあくまで叩き台であり、その台本を起点に参加者が議論し、加筆・修正を加える。最後にはラジオを演じることを通じて、2040年の街と自分の姿を想像した。

ASIBA ATLAS #3
「ASIBA ATLAS #3」は、2025年7月18日に戸田建設本社「TODA BUILDING」8階で開催された産官学連携イベント。テーマは「Creative Means More ― 創造性のその先へ」。建築・デザイン・アートを起点に社会変革を考える対話と共創の場として、企業・行政・研究者・若手クリエイター約40名が参加した。ASIBAの3年目の方針を共有する場でもあった。

ASIBA GROUNDBREAKING 2023
2ヶ月間にわたる建築学生向けインキュベーションプログラム「ASIBA」第1期の締めくくりとして、ミートアップカンファレンス「ASIBA GROUNDBREAKING 2023」を開催した。会場は、清水建設の新たなイノベーション拠点である「温故創新の森 NOVARE」。 テーマは「建築×社会実装の新たな形」。複雑化する社会課題に対し、建築・都市分野が培ってきた「妄想力」を武器に、描いた未来図をいかにして現実の社会へ実装していくのかを探求する1日となった。 第一線で活躍するゲストを招いたトークセッションを通じ、新たな建築の方法論や若手実践者のリアルな葛藤を共有。メインとなる「ASIBA FINAL PITCH」では、プログラムを通じて事業を構想した約15名のメンバー(全8チーム)が登壇した。建材の再利用や生成AIを用いたデザインサービスなど、実証実験を見据えた提案を発表し、次なる実践への力強い足場を築いた。

Cancertive Project
Cancertive は、Cancer と Creative を掛け合わせた言葉です。がんに影響を受けるすべての人に対して、芸術・デザイン・環境構築を通じた医療従事者以外が関与するケアの実践を目指しています。2人に1人の確率でがんになる時代において、治療だけでは排除できない痛みや弱みに対して、アプローチしていきます。

Liquid beings
本プロジェクトは、水によるキネティックアートの展示手法を模索するものです。本作は、水の素材性や現象の一回性にコンピュータ制御を重ね、仮想的な表現ではなく、本物の現象による表現を扱っています。そのため、技術面では環境変化に敏感な素材の管理が必要です。本プロジェクトでは、運営体制も含めて展示方法を見直し、先端技術による鑑賞体験を維持しつつ、長期的に展示可能な形態を確立することを目指します。

MIHARE
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Olfactory Heritage
時間とともに消えてしまう匂いという無形資産を、化学分析と感覚分析によって記録・保存・共有するプラットフォームの構築を目指す。特に、日本の食文化に着目し、季節の香りや家庭ごとの食の匂いなど、地域文化に根差した「匂いの記憶」を科学的にアーカイブする。さらに、抽出した香り成分を粉体・固体化し、「遺産を食べる(Edible Archive)」というコンセプトのもと、食体験型インスタレーションとして提供する。嗅覚と味覚を融合させることで、食を通じた新たな文化継承の形を提案する

Peekabugs
Peekabugsは、都市部に息づく植物や虫などの「身近に潜む生命」をテーマにした観察ツール。子どもたちが実際にツールを持って外へ出かけ、「見る」「触れる」「集める」「想像する」といった体験を通して、日常の風景の中で見過ごされがちな生命の存在に気づき、自ら発見し、考え、表現する力を育むことを目指している。 都市の中にも、多様な生命の営みが存在する。Peekabugsは、身近に潜む生命との出会いをきっかけに、一人ひとりが自分なりの視点で世界を観察し、新たな発見を生み出す試みである。また、五感を通した観察や表現の体験を通して、その人の内側に眠る感覚や好奇心、創造性を呼び覚まし、自らの才能や可能性に気づくための入り口となることを目指している。

Vacuum formed tray MELX
毎日使う大切なモノたちに、それぞれのカタチにぴったりと沿う居場所を提案するプロダクトデザインブランド「MELX(メルクス)」。 コア技術となる真空成形は、熱で柔らかくなった樹脂シートが、空気の力でモノのカタチを優しく写し取る技術です。型として3Dプリントしたオブジェを自由に組み合わせることで、一人ひとりのモノに合わせた無限のバリエーションの居場所を作り出すことができます。 プロダクトとしての佇まいを大切にし、メタルフレームで真空成形したシートを挟む構造を設計しました。ディテールまでこだわったノイズレスなデザインは、透明なトレーの中でモノの輪郭を美しく引き立て、生活空間に自然に馴染みます。 将来は、一人ひとりのモノに合わせたオーダーメイド展開に加え、様々な空間のディスプレイシステム、さらには照明や空間構成まで、真空成形の可能性を広げていきたいと考えています。プロダクトから空間まで、一貫したデザインシステムを目指します。 Melt into your everyday.

あのときの病室
「あのときの病室」という全自動シャボン玉装置を制作している。来場者が思い出の手紙・写真・絵を装置に入れると、介護用ポータブルトイレが丸ごとシャボン液に浸かり、便座の丸に張られた膜に内容が投影され、風でシャボン玉となって空へ飛び、消える。介護、闘病、孤立、それぞれの痛みは異なり、並列に語ることはできない。しかしこの装置の前では、痛みが大きい人も小さい人も、同じ場所にいられる。 東京大学大学院のエンジニア横井総太朗(東京大学大学院 学際情報学府 学際情報学専攻 博士課程1年)とアレックス・オルショリッツ(東京大学大学院 情報理工学系研究科 塚田研究室 助教) と協働しながら試作実験を進めている。

絵画を聴く
本プロジェクトは、サウンド・アートと人文学を掛け合わせ、「耳で視る」絵画のインターフェースを構築する試みである。絵画性やその余白を、視覚や言語による説明ではなく、音という形に読み替える。誰もが作品の空間に入り込み、直感的に「実感」できる環境を作ることで、鑑賞者が音の世界に触れ、絵画の「つづき」の物語が生まれる新たな鑑賞体験を提示する。 1:音で絵画を視る体験 絵画を音に読み替える。絵画性やその余白を視覚や言語ではない形に読み替え、鑑賞者がそれを直感的に「感じる」ことができるかを探る。 2:新たな場を作るインターフェース 音や物理的なインタラクションを通じた、鑑賞者と作品、あるいは空間とのコミュニケーションの可能性を探る。 3:メディアとエモーション デジタル化する「音」に対して、人間がどのような想いやエモーションを馳せることができるのかを探求する。
不忍池にハリちゃんを立てる
野村穂貴は、1949年の不忍池埋立反対運動の象徴であった「アヒルの張子」をめぐるリサーチプロジェクトを継続している。「ハリちゃん」とは、1949年のアヒルの張子をもとに作者が実寸で再制作した張子の愛称である。 文献調査やフィールドワークを基盤としながら、壁画制作、レクチャーパフォーマンス、トークイベント、ワークショップなど、多様な形式によってリサーチと発表を展開してきた。これまでに新聞写真や当時の資料をもとに全長3メートルを超える張子を制作したほか、不忍池を200分の1スケールで再構成した立体作品の制作、不忍池と中国・杭州の西湖との歴史的な関係に着目した現地調査などを行っている。また、再制作した張子を実際の不忍池へ設置する構想のもと、関係各所や地域団体との協議も進めている。 本プロジェクトでは、歴史的事実を単に記録・再現するのではなく、ひとつの事物を手がかりとして、人々が土地の記憶や歴史とどのように関わり直すことができるのかを探っている。リサーチそのものを表現実践として位置づけながら、過去の出来事や失われた存在が現在の人々との関わりのなかでどのように語り直され、共有されうるのかを検討している。