ASIBA
暗渠商店街 U35実践アイデアコンペティション
LABELProject

暗渠商店街 U35実践アイデアコンペティション

# community# urban-development# underground# collaboration# local-business# innovation
Duration2025.11-
StatusActive
Project LeaderTaisei Shobayashi
Project MemberHiroumi Takano
MediaRisa Maebashi

concept

人やモノが流れ溢れ出す商店街の姿を描けないか

「暗渠商店街 U35実践アイデアコンペ」は、東京・駒込駅周辺の5つの商店街を「暗渠(あんきょ)」という地形の記憶で結び直し、その未来像を問う実践型アイデアコンペティションである。一般社団法人ASIBAと一般社団法人まちあそびラボの共催により、2025年10月〜2026年2月にかけて実施。全国から59作品の応募が集まり、まちあるきワークショップ、地域住民との構想会議、公開最終審査会を経て、7組のファイナリストが選出された。受賞チームは現在「ANKYOBATION」として実践フェーズに移行し、地域と協働しながらアイデアの実装を進めている。

かつて谷田川が流れていた場所の上に、5つの商店街が連なっている。川は暗渠となり地表から姿を消したが、地形のわずかな起伏や道の蛇行に、今もその痕跡を残す。本コンペの出発点にあるのは、対象地の一つ・田端銀座に隣接する町会の人々が抱いた「このままでは街の動きが止まってしまう」という危機感である。担い手不足と空き店舗の増加。しかし均質的な都市再開発では、この地域の下町の風情や共同体の記憶はこぼれ落ちてしまう。一つの商店街を「点」として解決するのではなく、暗渠を軸に複数の商店街を「面」として捉え直すこと。そこから、毎年夏の盆踊りのように人やモノが流れ溢れ出す商店街の姿を描けないか。本コンペはその問いを全国に投げかける試みとして始まった。


phase 1

1. まちあるきワークショップ(2025年10月・11月)

2025年10月26日と11月15日の2回にわたり、対象エリアでの現地まちあるきワークショップを実施した。コンペの企画趣旨を共有したのち、参加者は商店街を実際に歩きながら、地形の起伏や路地の形状、店舗の佇まいなど、地図やデータには表れない現場の手がかりを収集。ASIBAが開発した「記憶のカメラ」アプリを用いて、写真撮影と同時に30秒間の音声を自動録音する手法で、住民の個人的な語りや街の記憶も採集した。集められた情報は「暗渠商店街アーカイブ Beta」としてWebアプリ上に可視化され、提案者が客観的情報と主観的情報の両輪から地域を読み解くための基盤となった。

まち歩きの写真や感想を集めた「暗渠商店街アーカイブ Beta」


phase 2

2. 一次審査・ファイナリスト決定(2025年12月)

12月18日の応募締め切りまでに、全国から59作品の提案が集まった。建築・空間デザイン、ランドスケープ、ファニチャーデザイン、仕組みづくりなど、提案形式は多岐にわたる。5名の審査員による一次審査を経て、最終審査会へ進む7組のファイナリストが決定。「商店街群を面的に捉え直す新しい視座」「空間イメージの鮮明さと魅力」「地域への具体的価値の提示」「将来の実践への展望」の4つの審査基準に基づき、暗渠という見えない水脈を起点にした多様なアプローチが選び抜かれた。


phase 3

3. 暗渠商店街アイデア構想会議(2026年1月10日)

2026年1月10日、駒込地域文化創造館にて「暗渠商店街アイデア構想会議」を開催した。ファイナリスト7組の提案者に加え、地域住民や審査員など約60名が参加。第一部では提出資料をもとに審査員とのポスターセッションを行い、第二部では地域住民とのワークショップを実施した。本コンペが「まきコンペ」の枠組みを継承している所以はここにある。提案は審査員だけに向けられるのではなく、実際にその場所で暮らし、商いを営む人々の前に開かれる。住民から寄せられた具体的な記憶や要望が、ファイナリストたちの提案をさらに鍛え直す契機となった。


phase 4

4. 公開最終審査会(2026年2月21日)

2026年2月21日、北区・田端ふれあい会館にて公開最終審査会を開催した。構想会議での住民との対話を経てブラッシュアップされた7作品が、A1パネルとともにプレゼンテーションを実施。審査員との質疑応答の末、最優秀賞1組、優秀賞2組、入賞4組が決定した。地域住民も参加する公開形式の審査は、提案の質を競うだけでなく、「この商店街でどんな未来を共有したいか」という対話を地域全体に開く場となった。受賞7組にはプロジェクトの実装に向けた支援と活動資金が提供される。

審査員

  • 饗庭 伸(東京都立大学 都市環境学部都市政策科学科 教授)
  • 石川 由佳子(アーバン・エクスペリエンス・デザイナー / 一般社団法人 for Cities共同代表理事)
  • 中島 満香(合同会社swan 代表)
  • 能作 淳平(建築家 / Junpei Nousaku Architects 代表 / 株式会社みんなのコンビニ代表)
  • 森原 正希(ASIBA Co-CEO / Producer)


ankyobation

実践へ:ANKYOBATION

最終審査会の終了は、本プロジェクトのゴールではなくスタートラインである。ファイナリストに2組を加えた計9組のプロジェクトは、「ANKYOBATION」と題したインキュベーションスタジオに参加し、ASIBAおよびまきコンペ地域事務局のサポートのもと、提案の実装に向けた協働を進めている。地域の人々と対話を重ねながら、図面上のアイデアを実際の空間や仕組みとして街に根づかせていくプロセスだ。かつて川が流れていた土地の上で、新たな「流れ」が生まれ始めている。