Partner Dialogue #4

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戸田建設株式会社・scheme verge株式会社は2025年度のコーポレートパートナーとしてASIBAの活動に協力しています。建築・都市におけるクリエイティビティとは何か、そしてそのバックグラウンドとなるエコシステムをどう構築するのか。創業以前からASIBAの活動に伴走してくださっている戸田建設 斎藤寛彰さん・scheme verge 嶂南達貴さんとASIBA 二瓶雄太がざっくばらんにお話しします。(文・鏡理吾)
二瓶 戸田建設の斎藤さんと初めてお話ししたのはASIBA立ち上げ前の2023年。実はASIBAの構想を最初に聞いてくださった外部の大人は斎藤さんなんです。
斎藤さん 二瓶さんの指導教員からある日、「うちの学生で変なやつがいるんだけど、一回話聞いてもらえない?」っていう怪しげなメールが届いたんです(笑)。
スタートアップをやろうとしてるらしいんだけど、まだ何も分かっていないからとりあえず話を聞いてあげてほしいと言われて、実際に会ってみたら、面白いじゃんと。
二瓶 その「面白いじゃん」の一言から始まりましたね。あの時もし「うーん」と首をかしげられていたら、ASIBAはそこで終わっていました(笑)。
schem vergeの嶂南さんは大学の先輩で、しかもスタートアップをやっている数少ない存在だったので、周りはみんなschem vergeのインターンに行っていました。僕自身も嶂南さんとの出会いは、新オフィス移転のときの測量という謎のバイトで(笑)。
嶂南さん 東大生で測量のバイトに喜んで来てくれる子なんてなかなかいないから、こいつすごいなと思ってましたよ(笑)。
逆に斎藤さんと僕の出会いは、ASIBAの中で紹介された形でしたよね。
斎藤さん そうですね。schem vergeの社員の方とは以前からやり取りはあったんですが、コミュニティイベント(ASIBA ATLAS #01)でようやく直接お会いできて。そのまま会場でめちゃくちゃお話ししましたよね。

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嶂南さん これまでASIBAの歩みをずっと見させてもらってきましたが、今のASIBAって、二瓶さんの同世代からはどう見られているんですか。
二瓶 ASIBA自体が設計やデザインの案件をいくつか手がけるようになって、意匠系の子からは新たな選択肢として見てもらえるようになってきた感覚があります。卒業した直後からプロジェクトを主導していいんだ、10年間下積みしなくてもいいんだっていう。
斎藤さん デザインもそうだと思いますが、エンジニアリングの世界だと、10年や20年やったところで、40年続けている人に勝てないんですよね。
どうしても若手のうちはクリエイティビティを発揮できる場が限られていて、僕自身ももどかしい思いをたくさんしてきました。だからこそ、そういう人たちが会社員として大きなものづくりに関わりながらも、目の前の課題に対して自分なりの価値を提供できる場を持てるといいなと思いますね。
二瓶 今はASIBAに関わってくれている人の多くが学生やフリーランスですが、いわゆる9時-17時で働く普通の会社員みたいな層ももっと取り込んでいきたいですね。一部の特殊な人たちだけのコミュニティではなくて、もっとパイの大きい、より普遍的な立場の人たちにも目を向けていかなきゃいけないと感じています。
嶂南さん 僕からするとASIBAに集まっている人たちはみんな優秀に見えるんですけど、「優秀な人たちのコミュニティ」からどう脱却できるのかというのは一つのテーマになる気がしますね。
優秀ですでにはみ出た存在だけじゃなく、もっと普通の人たちがASIBAを通して少しずつはみ出していく。そんなプロセスが作れたら、これから先より大きな影響力を持っていくんじゃないかなと思います。

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二瓶 scheme vergeが取り組む都市というのはまさにそうした「普通の人たち」によって形づくられるものだと思うんですが、嶂南さんは都市におけるクリエイティビティをどう捉えていますか。
嶂南さん たとえば個人的に、昔は古い街並みを壊すことに対してすごく反対の立場だったんですが、今は必ずしもそうじゃないと思っています。というのも今の日本社会って「古い街を壊すのは良くない」「住民の意見を聞かなければいけない」みたいな風潮に、どこか逃げている部分がある気がするんです。
もちろんみんなの意見を聞くことは大切だけど、その前提として、クリエイティブに良い街を作りたいという意思をちゃんと持ち続ける必要がある。その想いが欠けた状態で作られる街は、どこか空虚なものになってしまうんじゃないでしょうか。
二瓶 確かに「みんな」という言葉が実は何も指していない、ということは往々にしてありますよね。「みんなが幸せになるものを作ろう」と言いながら全員が自分ではない誰かを思い浮かべて描いた社会が、結果的に誰の想いも反映していないものになってしまうということもある気がします。
斎藤さん PayPalの創業者、Peter Thielが「Y Combinator」という米国有数のスタートアップアクセラレータで語ったとされる言葉に「優れたスタートアップのアイデアは、多くの人にとって最初は悪いアイデアに見える」というものがあります。つまり本当に価値のある尖ったアイデアは、合議制の会社からはそもそも生まれにくいという性質があるんですね。きっとASIBAが作ろうとしているのは、そうした必ずしも多くの人に肯定されるわけではないアイデアを社会から守り、それに本気で打ち込める環境なんだと思います。
二瓶 インキュベーションを通して目指してきたのは、そうしたいわば特殊解をスケールさせるためのエコシステムを作ることでした。ただ、どうやってその特殊解をスケールさせられるのか、あるいはそもそも本当に特殊解をスケールさせることができるのか。この問いに対する答えはまだ出せていないですね。
斎藤さん 単純に、もっと大きなインパクトを生めればそのハードルは超えられるんじゃないかと思いますけどね。たとえば今では当たり前のように使われているメルカリも、登場した当初「他人が使ったものをインターネットで売買する」という価値観はごく一部の人にしか受け入れられなかった。でもそこで強いインパクトを生み出し、人々の価値観そのものを変えてきたからこそ、メルカリは今これだけ普及しているわけです。ファッションECサイトも同様に、試着せず服や靴を買うことはありえないと思われていた時代からビジネスを始めて、いまや当たり前のサービスになっています。
そうやって今ある市場の中でスケールするだけじゃなく、市場そのものを変えてしまおうというくらいの視野を持って考えると、ASIBAって実はもっともっと上を目指せるんじゃないかと思うんですよね。

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嶂南さん 確かに、今のASIBAは既存のアカデミアや市場原理に対するレジスタンスにとどまっている感じもありますよね。単発の面白い取り組みという域を超えて、ASIBAの活動そのものにもっとオーソリティが備わっていくといいなと思います。
二瓶 なるほど。そのオーソリティというのは、たとえばどういったものを指すんでしょうか。
嶂南さん 一つは再現可能なシステムを作り、それが誰の目から見ても認められる状態にあるということでしょうか。
工学の根本は設計のプロセスをいかにメタ認知し、反復可能なものとして組み立てるかということです。ASIBAも今後他の理論をどう参照しながら、活動を体系的なシステムとして構築していけるのかという点はシビアに問われていくと思います。
斎藤さん そういう意味では、ASIBAの掲げているクリエイティブ・アントレプレナーシップという言葉はとても良いですよね。
クリエイティブというのは一回性が強く、スケールしにくい側面がある。そこにビジネスやエンジニアリングといった再現性を重視する分野を掛け合わせることで、互いに補完し合える可能性はあると思いますし、何よりこれまでなかなか成立してこなかったアプローチですよね。
クリエイティブという領域で本当にアントレプレナーシップが成立するのか、もちろんハードルは高いと思いますが、その方向に振り切ったのは個人的には正解だったと感じています。
二瓶 最後に、これからのASIBAに対する想いを聞かせてください。
斎藤さん 大きな組織で新しいことを始めるには、必然的に多くの人の理解を得られることが条件になります。ASIBAが作っているのはその対極のような、個人の持つ価値観や課題感などを起点にクリエイティブ活動に挑戦できる環境です。これは大企業がなかなか持ち得ない価値、つまり連携によって互いの強みを補完できる関係にあると考えています。
まずはやってみる、走りながら考えるという、ASIBAの持つゲリラ的なスタンスを僕自身も見習いながら、これからも連携を生み出していけたらと思います。
嶂南さん 何というか、今の世の中は戦う気のない大人が多いなと思っていて。
日本の中でどう新しいスタンダードを作るのか、それをもってどう世界と向き合っていくのか。その問いに、もっと真剣に向き合う必要があると思います。
そういう意味でASIBAの取り組みはきっと、国内に留まらず海外からも関心を持たれるだけのポテンシャルがある。そして一度そのサイクルに入れば、いろんな人を巻き込みながら、自然な形でどんどん大きくなっていくんだろうと思います。これからもスポンサーとして、微力ながらそのプロセスを支えていけたら嬉しいです。

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