ASIBA
Living Lens: 生き物とともにつくる都市デザイン入門
STUDIOEvent

Living Lens: 生き物とともにつくる都市デザイン入門

# urban-ecosystem# space-design# environmental-data# immersive-experience# observation# participants
Duration2025.03-11
StatusCompleted
PMHiroumi Takano
DesignerNanako Wakano

concept

都市の死角に暮らす生き物たちの視点へ

私たちが暮らす都市の死角には、多様な生き物たちの豊かな営みが存在している。排除ベンチに象徴されるような「人間中心の短絡的な問題解決」ではなく、複雑な生態系といかに共生し、適応していくか。Living Lensは、生き物の視点(Cross Species Design)から都市空間を捉え直す、日鉄興和不動産・大成建設との共催による全4回のデザインプログラムである。

技術的な環境保全やサステナビリティの枠にとどまらず、都市に対する私たちの「認識」そのものを根本からアップデートすることを目指した。赤坂インターシティAirの緑道をフィールドに、生態学・データサイエンス・プロトタイピングを横断しながら、変容した都市へのまなざしを具体的な空間デザインやサービスへと昇華させる領域横断的なアプローチを実践した。

期間:第1弾・2025年3月5日
   第2弾・2025年9月11日〜10月22日(全4回)
共催:日鉄興和不動産株式会社、大成建設株式会社
企画:一般社団法人ASIBA


2nd day-1

#2-1 KICKOFF TALKS|生き物視点とは何か

9月11日 ゲスト:奥田宥聡(合同会社Poietica 共同代表)

プロダクトデザインを出発点に、排除ベンチに代表される「人間中心の短絡的な解決」への違和感から、生き物とともにデザインする新たな領域を切り拓いてきた奥田氏。『多元世界に向けたデザイン』を手がかりに、対象をコントロールする三人称的な関わりではなく、愛犬と暮らすような二人称的な関わりの重要性を語った。エンジニアリング的な「解決」を急ぐのではなく、複雑な生態系を一人の主体としてどう認識し、適応していくか。というプログラム全体を貫く問いが提示された。


2nd day-2

#2-2 Field Research|敷地のコンテクストを探索する

9月26日 ゲスト:片野晃輔(造園ユニットveig)、多賀洋輝(株式会社バイオーム)

MIT Media Labで生物学の研究を行い、現在は造園ユニットveigとして活動する片野氏は、ランドスケープ設計における各主体の役割整理と、プロジェクト規模に応じた生態学的効果の見極めの重要性を説いた。むやみに生態学的な話を取り入れようとすることがかえってグリーンウォッシュを増幅させるリスクや、生態系の「回復」とは何を基準にするのかというミティゲーションの根源的な問いにも触れた。

続いて日本最大の生物データプラットフォームを運営するバイオームの多賀氏が、約120万ユーザー・累計1,000万件超の発見データをもとに、生物多様性の「価値化」の現在地を紹介。ナミアゲハを呼ぶためにミカン科を植えるだけでは、その地域本来の生態系を考慮したことにはならない——単純なKPIに終始する危険性が共有された。


2nd day-3

#2-3 Quick Prototyping|アイデアを最速で形にする

10月9日 ゲスト:中條麟太郎(東京大学 博士課程)

リーン・スタートアップの手法を手がかりに、完璧さを求めず最速で実装し、短いサイクルで仮説検証を回すプロトタイピングの思想を学んだ。自身もAIツール「v0」で論文探索アプリ「PaperDive」を開発した中條氏の指導のもと、参加者は「都市における生き物と人間が認知のギャップを超えて交差するためのアイデア」をテーマに、わずか数時間でWebアプリを制作。樹木のフィトンチッド放出量を可視化する「チルスポット」、特定の生物と人間の関係をネットワーク図で描き出す「生態系ネットワーク可視化アプリ」、撮影した植物から周辺の生物分布をマッピングする「街の緑マップ」など、生成AIを活用した多彩なプロトタイプが生まれた。