ASIBA

クリエイティブ・アントレプレナーを地域に育む、新スキームを始動

一般社団法人ASIBA(代表理事:二瓶雄太)と一般社団法人まちあそびラボ(代表理事:正林泰誠)は、地方・都市部を問わず地域に深く根ざし、建築・デザイン・アート領域のクリエイティブの力を用いて複雑化する地域課題にアプローチする「クリエイティブアントレプレナー」の育成・支援を行うため、新たなモデルの社会実装を開始いたします。本モデルは、「地域課題を探索するワークショップ」「公開コンペティション」「シード特化のインキュベーション支援」「エリアリノベーション」「地域経済への投資スキーム」の要素を掛け合わせることで、これまで地域や街に対して、積極的に挑戦することが難しかった領域や構造を切り開き、若手クリエイター達の活躍の場や可能性を広げていきます。

本事業の背景

近年、グローバルな課題に対して、アントレプレナーシップによるアプローチは爆発的に増加している一方で、複雑化するローカルな課題にアプローチする動きは、未だ十分とは言えません。地方・都市部を問わず、少子高齢化が進行し、公的リソースが減少していく中で、多様化していく価値基準と向き合いながらも構造的な課題を解いていく動きが必要とされています。また、それらの多くは従来のトップダウン・課題解決型のアプローチでは解けないものになっています。

私たちは、このような問題に対して、プラグマティズム(※1)に基づくクリエイティブなアプローチ(※2)の総量を増やしていくことが重要であると考えます。クリエイティブが尊重されるには、「完全な正解など存在しない」からこそ、「とりあえずやってみる」ことを大切にしていくプラグマティズムの姿勢が不可欠です。そして様々な立場から試行錯誤を重ねながら、共創を通じて解決に「近づいていくこと」を重視する。そんな社会的風土が必要とされています。

一方で、現代の地域課題に対するアプローチは、未だトップダウン・課題解決型のものに限定されています。ボトムアップであるはずの「まちづくり」において、女性や若者など多様な主体による挑戦を促したり、「とりあえずやってみる」「上手くいかなければやめる」を許容したりする社会システムや風土がいまだ十分に構築されていません。こうした現状に対し、これまでクリエイティブ領域の若者の「やりたい」「つくりたい」から始まるアイデアの社会実装や事業化を支援してきたASIBAだからこそ、できることがあるのではないかと考えてきました。

※1:プラグマティズムとは、物事の真理や価値を理論や信念ではなく、実際の行動から生まれる結果や効果によって判断しようとする考え方です。『クリエイティブ・デモクラシー』では、マンズィーニによる「ライフプロジェクト」と合わせて、実践型・参加型民主主義の基盤として取り上げられています。

※2:クリエイティブとは、デザイン・アート・サイエンス・エンジニアリングといった領域を横断しながら、既存の型や分類にとらわれずに自らの方向性を見出し、人々を巻き込みながら社会に新たな動きや連帯を生み出すこととASIBAは定義しています。

新モデルについて

ASIBAは、地域に根ざした創造的な起業家=クリエイティブアントレプレナーを育むための新たな社会実装モデルを始動します。地域課題の探索から市民参加型の公開コンペの開催、地域プレイヤーを育てるシードインキュベーション支援、地域投資スキームの構築、経営伴走までを一貫して行うことを通じて、地域の記憶や関係性、土着性に丁寧に向き合いながら、小さな実践の総量を増やし、社会更新を起こしていくモデルです。

⚫︎STEP 1 地域課題を探り、未来想起をするワークショップの提供

ASIBAはこれまで、デザインリサーチの手法を活用し、テクノロジーを用いて市民参加を促しながら、ボトムアップに地域の未来等を探索する為に、3つの先端的なワークショップを開発・実践してきました。これらのワークショップでは、既存の課題解決型のまちづくり手法ではなく、発見的手法を用いて生活者課題やニーズ、地域の歴史などを尊重した上で、街の未来のあり方を繊細に考え、リサーチを行うことができます。

①NESS:画像生成AIを用いて、街のらしさを抽出し、望ましい未来のAI生成風景から街の未来を想起するワークショッププログラム。

②間主観的コミュニティラジオ:生成AIを用いて、場所に紐づいた地域住民の記憶を抽出し、そのアーカイブを基にコミュニティラジオを生み出すワークショッププログラム。
実施例:「あなたとわたしの間の景色」(協力:ササハタハツまちラボ)

③コラージュワークショップ:視覚と感覚で地域を分析する市民参加の創作型ワーク
実施例:「Tokyo Futurescape Studio #01 暗渠商店街×風景コラージュ

⚫︎STEP 2 地域内外から地域の未来を考える「まきコンペ」の実施

地域市民を巻き込み、地域の未来を考える合意形成手法として、一般社団法人まちあそびラボが事業提供する「まきコンペ」と連携し、地域住民を交えた公開コンペティションの開催を行います。公開コンペティションを通じ、地域の内側と外側の境界線を溶かし、ボトムアップかつ現場の生活者課題、地域の特性や歴史等を尊重した市民の合意形成を行うと同時に、アイデアを創出することを可能にします。

⚫︎STEP 3 ローカルなクリエイティブ・インキュベーション支援

「まきコンペ」を通して地域内外の方々からの意見や合意形成プロセスを経た一部のアイデアを、実装前提のプロジェクトとして選定。地域でのプロジェクトの実現化に向け、ASIBAのこれまでのナレッジを活用してインキュベーション支援を行います。ASIBAは、地域に根ざした関係性を重視し、プロジェクトの事業化のためのコーディネーション、実証資金の提供を行い、最短距離でプロジェクトを実現するための「足場」を提供します。

⚫︎STEP 4 地域支援スキームの開発

ASIBAは、プロジェクトの社会実装・事業化を加速させるために地域の金融機関や事業者等と連携し、地域の社会課題を解決を促しより良くする可能性を持つ、シードプロジェクトの社会実装を加速させるための新たな投資・支援スキームの開発を行います。

⚫︎STEP 5 クリエイティブな地域事業者の創出と定着

支援を得たシードプロジェクト達は、地域課題を解決する事業者としての成立を目指し、ASIBA PROJECT LABEL(※3)として、独自の契約方法をシードプロジェクトの一部と締結し、ASIBAが全面的に経営支援を行います。

※3:プレシード・シード段階のクリエイティブなプロジェクトを対象に、独自のパートナーシップを締結し、社会実装・事業化・経営支援を行い、活動を加速させることを目的としています。単なる支援者や資金提供者としてではなく、シードプロジェクトに伴走するチームの一員として、構想段階から実装段階まで一貫して共に取り組むことで、プロジェクトが社会に与えるインパクトの最大化、その先の社会変革を目指します。

展開予定地域&募集

以下のエリアで既に実験な展開を行ってきました。

・東京都北区駒込エリア:「STEP 1|ワークショップ」の開催
・東京都渋谷区ササハタハツエリア:「STEP 1|ワークショップ」の開催
・東京都板橋区高島平団地:「STEP 5|PROJECT LABEL」の展開

今後、以下の地域での実践を予定しています。

・山形県山形市:「STEP 3|ローカルインキュベーション」の開催
・東京都北区駒込エリア:「STEP 2|まきコンペ」「STEP 3|ローカルインキュベーション」の開催」(さらに複数地域での展開を予定)
・東京都世田谷区駒澤エリア:「STEP 1|ワークショップ」の開催
その他、複数自治体を予定(順次公開)

市区町村、地域企業、大学等の関係機関の方々との連携を募集しておりますので、ぜひお問い合わせください。

メッセージ

私たちは、アントレプレナーシップは何か大きな社会課題に対するものだけではなく、むしろ自分自身や身近にいる他者の生活に根差した課題や好奇心を起点に、問いと実践を往復し、社会へと敷衍していくものだと考えています。それは、私たちが建築・都市やデザインといった、生活に密着した領域をバックグラウンドとするからこそ、感じていることなのかもしれません。本モデルを起点に、そうした生活に近い領域でのアントレプレナーシップが育まれ、より多くの人がクリエイティビティを発揮する機会を持つこと、そしてそれらが群となって社会変革のうねりを起こすことを期待しています。

担当者:髙野広海 / Hiroumi Takano

東京23区とのコラボレーションプロジェクトをはじめ幅広いプロジェクトに参画。若年単身者の住まいを専門とし、ワンルーム住宅・シェアハウスについて研究と実践を往復しながら活動している。東京大学工学部都市工学科に在学中。2023年6 月までロンドン・UCLに1年間留学。2022年には東京大学にて学内最大規模の分野横断型カンファレンスであるTEDxUTokyo を5年ぶりに復活させた。

TEDxUTokyo 2022 代表 (Founder) / HCAP Tokyo 15期 代表
第16回国際地理オリンピック日本代表

一般社団法人ASIBAについて

一般社団法人ASIBAは、ASIBA Creative Incubation Programなど複数のプログラム運営、ASIBA PROJECT LABELを通じた伴走型の事業創出、デザインリサーチやワークショップ設計などの自社事業を通じ、次世代クリエイターの育成と創造的な社会変革を目指すスタートアップ企業です。「クリエイティブ・アントレプレナー」の育成を通じて、建築・デザイン・アート領域から、社会変革の波を起こします。そして、クリエイションへの文化的信頼の醸成と、誰もが自分の可能性を諦めなくてよい社会の創出を目指しています。

一般社団法人まちあそびラボについて

一般社団法人まちあそびラボは、思わずまちにアクションを起こしてしまう人、“まちあそび”するプレイヤーを増やすことをモットーに、2024年11月に設立されました。建築や都市計画などを専門とする若手を地域に呼び込み、集まったアイデアとその熱量によって地域を巻き込むことを目的としたアイデアコンペ、「まきコンペ」を企画・運営しています。これまでに千葉県館山市や三重県鳥羽市で開催した実績を踏まえ、2025年には全国各地で展開できるプラットフォームを立ち上げました(※4)。

※4 一般社団法人まちあそびラボはASIBA Creative Incubation Program 3期に採択されています。

なお、本事業は東京都の多様な主体によるスタートアップ支援展開事業「TOKYO SUTEAM」の協定事業の一環として推進しています。