
2025年度グッドデザイン・ニューホープ賞においてASIBAメンバーの6プロジェクトが入選・受賞
公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「GOOD DESIGN NEW HOPE AWARD 2025」に、ASIBA Creative Incubation Program 2期生・3期生の合計6プロジェクトが選出されました。なお、2期生の臼井・若野、3期生の稲垣・仲村・井上はASIBAのプロジェクトでの選出、3期生の佐野・平野は個人で推進するプロジェクトでの選出となりました。各プロジェクトの今後の活躍に期待しています!
日本デザイン振興会はASIBA Creative Incubation Programの後援団体であり、今年7月にはニューホープ賞に挑戦する若手を支援するための「New Hope Idea Workshop」をASIBAと共催しました。今後も「受賞者の経験・知識の蓄積や活躍の場を提供するプラットフォーム」としてのニューホープ賞を通じた、未来のデザイン人材の裾野拡大、そして「創造の連鎖」をともに作り出していきます。
|優秀賞

◼︎天体音測会 佐野 風史、他1名
作品概要
光害により星の見えない都市部で星を音で聴く取組「天体音測会」は、参加者の宇宙への意識を変える仕組みのデザインです。可聴化に関する科学的知見と、認知や感性を融合した設計が、見えない星の存在と星の特徴を体験的に伝えます。さらに、参加者が自らが星の音を探す能動的な動作により、天体観測文化を提案します。
審査委員による評価
都市部で星が見えないという原体験から着想し、星を視覚ではなく聴覚で観るという発想へと辿り着いた先で、データの可聴化技術の習得からプロトタイピングを重ねたプロダクト化、検証を重ねた先でのサービスデザイン、社会に届ける体験価値のデザインまで、全てのプロセスが丁寧で力強い。都市部の環境要因で星が見えない時の体験提供はもちろんのこと、視覚障害を持つ方の天体音測体験や、教育ツールとしての展開など、様々な領域への広がりを感じるプロダクト。今後の社会実装・広い展開を期待したい。
HP:https://soundstargazing.studio.site/
|入選

◼︎ウツレカメラ -誰のものでもないカメラがみる景色- 稲垣 凜
作品概要
『ウツレカメラ』は、所有者を持たない自律型カメラです。人々の手を渡りながらヒッチハイクのように旅を続け、撮影された写真を通して地図上に可視化することで、カメラから始まる信頼のうつりかわりやつながりを実証します。自らの視点を発信していく現代、誰のものでもないカメラが存在したら何をみるのかを社会に問いかけるデザインです。
審査委員による評価
カメラというオブジェクト性を特殊なコミュニケーションツールとして成立させようという視点と実行力が面白い。SNSとの連動がまだ弱い印象もあるが、これが世界中に広がる、伝わると、防犯カメラのような無人格視点ではなく、パーソナリティを持ち、今を切り取ることに注力した街角の画像が集まってくるだろう。モノを奪い合うのではなく、モノを信じて人間の関係がよりよくなる仕組みに評価が集まった。
HP:https://www.instagram.com/utsu.re?igsh=bWV4ZmJ5NDVnZTFp

◼︎DOG-PEE PROJECT 平野 央、他2名
作品概要
犬のマーキング行動による「おしっこ」は都市空間において忌避されています。「DOG-PEE SPOT」は、不可視化された尿の匂いによる犬同士のコミュニケーションを、おしっこの吸着・肥料化までを担うことで犬と人間の双方の利益を保ち、橋渡しする都市設置型のプロダクトです。私たちは街の資源循環に種を超えた協働を構想しています。
審査委員による評価
そのままの存在を受け止めることが出来ない人間に対して、人間以外の世界と共存、共生関係の存在であることを目にみえるようにするプロダクトであり、優しい取り組みでもある。特に犬は散歩時間が重要とされており、世界から刺激を受け、コミュニケーションを覚え、伴侶動物として生きる力を蓄えていく。その彼らの特異な能力を視覚化していくことを手助けし、公共性を帯びさせようとする試みに評価が集まった。今後も表と裏の視点を持ち続けた社会実験を続けてほしい。
HP:https://dogpeeproject.studio.site/

◼︎治具と3Dプリンタでつなぐ暮らし 井上 聖隆
作品概要
3Dプリンタで製作可能な治具を用い、誰もが安全かつ正確に家具や道具を作れる仕組みを提案。制作と使用を連続させ、修理・改造を容易にし、暮らしの中で循環するものづくりを実現する。
審査委員による評価
消費者と生産者の境界を曖昧にしていき、誰もが作り手にも使い手にもなれるという文化は着実に育まれているが、その一方でいきなり作り手になろうとしても何からスタートしたら良いかわからないという声も聞く。そんな中本作品は、ものづくりのいわば補助輪のような「治具」に着目した点が素晴らしい。治具は作りたいプロダクトや工程によって様々であるため、3Dプリンタによってデータ化・アレンジした1点モノの治具を無理なく量産できる運営体制へもデザインが行き届いている点も評価したい。

◼︎yomiyomi 仲村 怜夏、他2名
作品概要
記憶の主権を人からモノへ。yomiyomiは、「記憶がモノを通して生き続ける世界」を目指す、記憶のプロダクトブランドです。スマホをかざすと1秒で思い出がよみがえる「思い出召喚ステッカー」の開発・販売を起点に、“モノに記憶を宿す”という新たな記憶のあり方を社会に実装していきます。
審査委員による評価
デジタルですべてを伝達しようという「非身体的」な時代に、あえてモノを媒介にすることで新規性を生み出している。特にステッカーという形状をとっていることが面白く、企業のイベントなどには親和性が高いし、ビジネス的にも有効だということがすでにコラボされている点からも実証されている。ただ、まさにこの使い方がQR動画で紹介されていたように、QRを付与したメディアがこの代替になる(競合となる)可能性が高いが、今回のデザインアプローチがその課題に対してどのような独自性を発揮するのか、もう一歩踏み込んだ説明があるとさらに良かった。

◼︎扉をくぐるタネを育てる 臼井 元彬、若野 菜々子、他1名
作品概要
このプロジェクトは、地域コミュニティの希薄化を背景に、日常に「小さな媒介(コンポスト)」を挿入するものです。廃棄物削減だけでなく、緩やかな参加モデルを通じて「関係性の生態系」を育み、無縁な人々が自然とつながるきっかけを生み出します。
審査委員による評価
入り口の敷居を下げるデザインをとることで、子どもたちがつながり、それをもとに地域の人たちもつながっていく、種まきのような仕組みのデザインだ。プロセス、設置位置などが練られており、持続性を感じさせることに評価が集まった。活動がムーブメントになることで、この次のステップとして、地域の公園やパブリックな場所などに広がっていくことを期待したい。

日本デザイン振興会とASIBAは、11月29日に「New Hope Idea Workshop+Open lecture(exiii design代表 小西 哲哉)」を開催します。詳細・申し込みは以下のリンクよりご覧ください。
https://nhaws.peatix.com/