Public Partner Dialogue #2

FIG.1
ASIBAは都内の自治体と連携し、若手クリエイターが公共的な課題に挑む環境づくりや、これからの都市計画・まちづくりの探求を続けてきました。世田谷区では、区内にある28のまちづくりセンター(以下「まちセン」)のひとつ、上馬まちづくりセンターと連携し、地域社会と若者との関係性を再考してきました。
今回は、上馬まちづくりセンターの矢幡さんと、共に連携を進めている経済課の山本さんとともに、10月に実施したワークショップを振り返りながら、これからの上馬のまちづくりを展望します。
半田 まずは、世田谷区独自の機関である「まちづくりセンター」の役割について教えてください。
矢幡 はい。世田谷区は28の地区に分かれていて、まちセンも28箇所あります。役割を一言で言えば、地域を良くしようと活動している団体さんの「支援」です。町会さんや、子供たちの健全育成、地域の課題解決、防災訓練など……そういった活動のお手伝いをしています。また、地域住民にとっては最も身近な行政の窓口でもあります。

区内全28地区のまちづくりセンターにお越しください
半田 28箇所ある中で、上馬ならではの特徴はありますか?
矢幡 上馬は、地区内を環状7号線と国道246号線が通っており、これら大通りと駒沢大学駅周辺は賑やかではありますが、一本道に入ると、緑が多く落ち着いた住宅街が広がっています。閑静な住宅街でありますが、さまざまな団体さんが地域で活動していて、そのような方たちと日々接して仕事ができることが楽しいです。

FIG.2
半田 一番近くで地域の方と関わる中で、課題だと思うことはありますか?
矢幡 活動団体さんの「担い手不足」や「地域活動に参加する方の偏り」が課題だと感じています。
地区内にある駒澤大学の学生さんに上馬地区のミニコミ紙の企画・編集・執筆に参加してもらったり、防災訓練を競技形式にして子どもからご高齢の方まで楽しんで参加できる訓練を企画してもらったり、少しずつですが、若い人たちの力を借りて、担い手不足の解消や地域活動に参加する世代を広げるよう取り組んでおります。

上馬まちづくりセンター
髙野 当初は経済課の皆さんと一緒に議論していて、地域社会と若者との関係性がテーマになりました。そこでいくつかのまちセンにメールで課題意識をお聞きしたのですが、矢幡さんだけ返信メールの長さが全然違ったんですよね(笑)。上馬の課題意識がびっしり書かれていて驚きました。
矢幡 いやぁ、もう食いついちゃいましたね(笑)。普段、僕たちが関わることのないような団体さん(ASIBA)からの提案でしたし、何より「若者をターゲットにしたワークショップ」というのが、上馬の今の課題に真っ向から向き合うものだったので。「ぜひぜひ!」という感じでした。
山本 実は私と矢幡係長は同期なんです。そういったところでも縁があったなと思います。
半田 20代、30代の住民を巻き込むことの難しさについて、日頃どう感じていますか?
矢幡 意欲のある若者は、絶対に街の中にいると思うんですが、きっかけがない。 実は、まちセンがある施設って地区会館と一緒になっているので、例えばダンスサークルの若者たちが練習によく来てるんですよ。窓口にも、若い人が手続きに来ることがあります。 でも、手続きが済んだら、そのまま帰っちゃう。そんな若者たちをどうやって引き止めるか。「チラシはもう古いのかな……」とか、どうすれば彼らの感性に刺さるのか。それは現場の切実な課題なんです。
髙野 送っていただいた課題意識の中にも、マンションや木密地域の防災、防犯対策、高齢者の買い物支援、子どもの居場所確保など、地域の若者が力になれそうなテーマがたくさんありましたよね。
矢幡 そうなんです。これまでのようにアプローチしても届かないので、ASIBAさんのような、行政の発想にはない「遊び」を含んだアプローチを求めていたんだと思います。
髙野 逆に私たちは、地域の課題をあまりわかっていないんです。「スタートアップ」や「社会課題解決」という言葉を使っていると、どうしても大きくて普遍的な課題に目が行ってしまいます。もしかしたら今の若者全般がそうなのかもしれません。だからこそ、地域の課題を誰より詳しく知っていらっしゃるまちセンとの連携に価値があると思います。

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そんな中で行われたのが、街の景色を音声吹き込みとともに収集し、画像生成AIで花札にするワークショップでした。矢幡さんにとって、このプロセスはどう映ったのでしょうか?

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矢幡 生成AIという、自分が今まで触れたことがないものを使って、あんなにすごいことができるんだと純粋に楽しかったです。 それ以上に驚いたのが、若者の発想力ですね。街の要素を組み合わせて花札の「役(ヤク)」を作る工程があったんですが、自分だとせいぜい2つを組み合わせるのが限界。でも参加してくださった方々は、独自のストーリーを持ってきて、思いもよらない「役」を完成させてしまう。

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髙野 「役作り」は上手くいくか不安なパートだったのですが、そこが一番面白かったという声が後から多くて、僕らも意外でした。
矢幡 「おおっ」と思いましたね。今回は若者のみの参加でしたが、できたら若者からご高齢の方まで一緒に楽しめたらと考えておりますが、今回の内容をそのまま地域のご高齢の方にやってもらうのは、まだ難しいという気づきもありました。僕と同様、生成AIへの馴染みがあまりないと思うので(笑)。若者が熱中できて、かつご高齢の方にも伝わる、世代横断でできるようなアクティビティは次の大きなテーマですね。

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※役(ヤク) 花札における特定のカードの組み合わせのこと。本ワークショップでは「上馬らしい組み合わせ」に独自の名前をつけた。
矢幡 正直なことを言うと……皆さんとやり取りしてると、「すごい難しい言葉使うなー!」って思ってました(笑)。
一同 (爆笑)
矢幡 最初、企画書や資料を見ても、僕からすると「なんのこっちゃ」と(笑)。自分はどうしてもカタカナの専門用語とかが苦手で。大学生と話していても、たまに何を言っているのかわからない時があるんです(笑)。
でも、自分たちにはない視点や、僕らが使わない言葉を持っている人と一緒に何かをしてみるとか、わからないなりにその感性に触れることで、自分の凝り固まった考えがほぐされる感覚がありました。
山本 ずっと一緒にいると、なんとなく「あ、こういうことを言いたいんだな」って慣れてきますね。そういった言葉の壁みたいなものを越えて歩み寄ること自体が大事ですよね。

FIG.7
矢幡 今回もそうでしたが、やってみないと分からないことだらけだと思いました。まちセンであれば、今回のように、地域を盛り上げていくために柔軟に連携できることもあるので、どんどん繋がっていきたいです。今の地域の活動は固定化されている部分があります。もちろんこれまで続けてきた活動は十分に大切なのですが、やっぱり新しい要素を入れて、「この街って楽しいんだな」って上馬に暮らす皆が思ってもらえたらいいですね。
半田 今後、ASIBAに関わっている若者が「この街で何か実験したい」と思った時に、上馬のまちセンをその舞台として使わせていただく。そんな形で連携を深めていけると嬉しいです。
矢幡 ぜひ!「まちセンに行けば何か面白いことができそう」と思ってもらえるように。またミーティングというか、雑談から始めましょう(笑)。
この対談は、ASIBA PUBLIC COLLABORATIONの一環として実施いたしました。
Credit
2025.11.04.