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“21世紀の海上都市”が目指した姿と現在地<ポートアイランドスタディツアー>|ASIBA

“21世紀の海上都市”が目指した姿と現在地<ポートアイランドスタディツアー>|ASIBA

2025年9月3日、ポートアイランド研究会、Future Style総研(日鉄興和不動産株式会社)の皆様と、兵庫県神戸市のポートアイランドにてスタディツアーを実施しました。 ASIBAでは今後、ポートアイランドを舞台に新たなリサーチや実証実験の創出に向けた連携を進める予定です。今回はそのキックオフとして、インキュベーション3期生やASIBAエコシステムに参画している若手起業家とともに島内ツアーとワークショップを行い、ポートアイランドの現状や可能性を探りました。

“21世紀の海上都市”が目指した姿と現在地

ポートアイランドは、平地が少ないという神戸市の地理的課題を克服するため、1981年に当時世界最大の人工島として誕生しました。その背景には、1960年代から70年代にかけて議論された海上都市構想の影響があります。丹下健三の「東京計画1960」や菊竹清訓の「海上都市」をはじめ、メタボリズムの建築家たちは海を生活と都市の新たな基盤として構想しました。理念にとどまったこれらの計画に対し、ポートアイランドは実際に実現した数少ない事例であり、住宅や商業オフィス、港湾施設などの機能を集約した「21世紀の海上都市」として計画されました。その後は大学や研究施設、国際会議場も立地し、港湾都市としての機能に加え、国際交流や医療研究といった新たな都市機能を担う基盤へと発展してきました。

一方で、理想の人工島として造られたポートアイランドも、時間の経過とともに課題を抱えるようになっています。大学や研究施設と住宅地は幹線道路によって分断され、偶発的な出会いや交流の場は十分に確保されていません。さらに、居住・研究・産業・港湾といった用途が明確に区分された結果、ゾーン間の連続性や柔軟な土地利用が制約され、一部では空洞化が進行している現状もあります。加えて、集合住宅の老朽化や住民の高齢化、商業施設の閉鎖が進み、地域全体の生活利便性やにぎわいの維持が大きな課題となっています。

今回は、港島自治連合協議会・橋田副会長による案内のもと、そんなポートアイランドの現状と可能性について、ASIBAメンバーそれぞれの専門分野や独自の視点から捉えていきました。

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実験島として当時最先端の技術や発想が詰め込まれたポートアイランドには、45年を経た現在、多様な成果と課題が顕在化していました。その歴史を無視して新しいことだけに取り組むのも、単なる感傷にとどまるのも適切ではありません。これまでの歩みを踏まえ、今何を目指し、何を実行すべきかを広い視野から検討することが求められていると感じました。

課題を強みに変えるアクション

ツアー終了後は会場を移し、神戸市中央区役所にてワークショップを実施しました。 この日学んだポートアイランドの現状を踏まえながら、問いや課題を掘り下げ、自身の根源的なテーマと接続していきます。

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最後は導き出したテーマをもとに、3年後に実現したいアクションアイデアをスケッチで表現しました。 これまで厳格な計画によって形づくられてきた島の中にどのように余白を生み出し、一人ひとりが関わる余地を広げていくかという視点が印象的でした。また単なる弱点の補完ではなく、今あるリソースを活かしつつ、新たな時代の“実験島”として強みを創出しようという姿勢も随所に感じられました。

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おわりに

島内ツアーからワークショップまで、密度の高い一日となりましたが、このスタディツアーはゴールではなくスタートです。今回共有することのできたポートアイランドへの視点や課題感を足がかりに、今後の具体的な実践へとつなげて参ります。

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