WORKS/INC-1

ASIBA Creative Incubation Program 1期

建築学生たちが「次世代のつくり手」として足場を築いた8週間

建築や都市を学ぶ学生にとって、自らのアイデアを社会で実験・実装するハードルは高く、多くの優れたビジョンがプレゼンボードの中だけで完結してしまう。「ASIBA Creative Incubation 1期」は、こうした課題を打破すべく学生有志によって立ち上げられた、建築領域に特化したインキュベーションプログラムだ。 選考を通過した約10名が集い、8週間にわたるリサーチ・事業構想・実証実験のサイクルを回した。クライアントからの与件やコンペを待つのではなく、自ら描きたい社会像を提示し、事業として広げていく起業家的な姿勢を目指す。第一線のメンター陣による伴走のもと、建築学生たちが「次世代のつくり手」としての足場を築こうとした自主ゼミ的プロジェクト。

期間2023.10 - 2023.11
役割自主ゼミ的プログラム
パートナー清水建設 3x3 Lab Future 日建設計
アジェンダ遊び
ASIBA Creative Incubation Program 1期

FIG.1 © Tamao Nishiyama

1-外部パートナー|2-場所・資金|3-メンタリング|4-運営サポート・コミュニケーション|5-実践|6-プロジェクトチーム/クルーとしてジョイン

第一期、最初の足場

2023年秋、東京大学・早稲田大学建築学科生の有志が企画・運営する、建築系学生を対象とした都市建築領域に特化したインキュベーション・プログラム「ASIBA」(Architecture Studio for Impact Based Action)の第1期を開催した。約10名の参加者が9チームに分かれ、毎週土曜の8週間で、リサーチから事業構想、実証実験までのサイクルを回した。ASIBAという名前のとおり、建築系学生の「未来へのビジョン」を社会実装へとつなぐ最初の足場(ASIBA)となることを目指した、始まりのプログラムである。

気候変動、人口減少、社会の分断。都市と人間環境が重大な課題に直面するなかで、建築家という職能の再編成が求められている。しかし、建築系学生が描く「未来へのビジョン」を社会に対して実験・実装する障壁は依然として大きい。クリエイティビティを持ったアイデアがプレゼンボードの中で完結し、学内の評価軸に回収されてしまう。才能ある若者が自己否定に陥り、業界から離脱していく。ASIBAはこの構造に対する問い直しとして生まれた。クライアントの与件やコンペティションを待つのではなく、自ら描きたい社会像を提示し、プロトタイプをつくり、実効性を持った形で一般化していく。MITdesignXを参照しながら、起業家的な姿勢を持つ「次世代アーキテクト」の輩出を掲げた。

FIG.2 ステートメント

自主ゼミとしてのプログラム

8週間のプログラムは、ゲストレクチャー・ワークショップ・エスキス発表を毎週繰り返す構成で進行した。建築系社会起業家やデベロッパーがメンターとして参画し、社会的インパクトとビジネスデザインの両面から伴走支援を行った。

第4週には中間講評会を開催。最終週には、最終講評会「GROUNDBREAKING」を開催。8週間で磨き上げた事業案を協力企業や関係者に向けて発表し、実証実験(PoC)に進む強度のある事業案にはPoC運用資金を獲得する機会が設けられた。

FIG.3

9のプロジェクト、その問いと方法論

9チームが、それぞれの課題意識を起点に都市建築領域の社会実装を目指した

  • 二畳建築(新美志織、吉村 理子)
    軽トラックの荷台に乗せられる規格内で小さな建築を設計・販売する
  • 中古家具に新たな価値を(森田靖之)
    壊れてしまった、欠けてしまった中古家具にアタッチメントを付ける
  • Problem/Pochant(馬場悠輔)
    自分の部屋や公共空間に「やわらかくて大きいハコ」という異物を挿入する
  • 纏う寄席(中山亘)
    現代の落語を、建築の観点から構想
  • 大十:新しい大工との作り方(俵健太郎)
    地方創生における、大工と移住者との共創
  • ともに学ぶための場(山路湧、二瓶雄太)
    勉強会促進プラットフォームの提案
  • 建材再利用の標準化(Relink:本多栄亮、水越永貴、渡会裕己)
    解体した建築資材や部品を再利用する仕組み作り
  • 生成AIを用いたボトムアップデザイン(NESS:森原正希、須藤望、川北大洋)
    生成AI技術を用い、民主的な都市開発を目指す

FIG.4 馬場によるプロトタイプ

先駆者たち

建築家/アントレプレナーの先駆者の方たちに、各会でのレクチャーやプロジェクトに対するアドバイスをいただいた。

  • 秋吉 浩気さん
  • 林 厚見さん
  • 吉村有司さん
  • 青木 隆幸さん
  • 髙堰 うららさん

場を自分たちで運営する

東京大学・早稲田大学の建築系有志5名が運営事務局を務めた。(情報は当時のもの)

  • 二瓶雄太(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 M1)——建築の解体を専門とし、解体材の再利用や解体予定建物の葬送に取り組む。総務省 異能vation 採択。
  • 森原正希(早稲田大学創造理工学部建築学科 B4)——建築史系研究室に在籍しながら、社会課題と建築的アプローチを紐付けたプロジェクトを推進。
  • 髙野広海(東京大学工学部都市工学科 B3)——TEDxUTokyo 2022代表。ロンドン留学を経て、地方都市の公共交通や都市計画制度比較に関心。
  • 山路湧(東京大学新領域創成科学研究科 M1)——位置情報共有アプリ等を手がけるSuishow株式会社COO。地域通貨やDAOによるまちづくりを研究。
  • 須藤望(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 M2)——生成系AIの建築・都市分野での社会実装と創作活動に取り組む。

FIG.5

「建築を志す者に今何ができるか」を問い直す

2ヶ月の成果発表の場として、GROUNDBREAKINGと名付けた1DAYカンファレンスを開催した。建築や都市領域の社会課題が複雑化するなか、「建築を志す者に今何ができるか」を問い直す。

社会実装をテーマにしたトークセッションと、8週間のインキュベーションプログラム「ASIBA」1期生によるファイナルピッチを軸に構成。建築・都市分野が培ってきた妄想力を武器に、社会実装の新たな形を第一線の実践者たちと共に模索しました。会場となったのは、清水建設のイノベーション拠点「温故創新の森 NOVARE」。施設内部の見学ツアーも実施し、建築・業界・世代を横断した交流の場となりました。

FIG.6

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CREDIT

inhouse

二瓶 雄太Producer
森原 正希Producer
髙野 広海Chief Director
須藤 望Designer
宮田 龍弥Director
堀江 優菜Director
岡 空来Director

INC Player

本多 栄亮Project Leader
水越 永貴Project Member
渡会 裕己Project Member
半田 地寛Project Member
新美 志織Project Leader
森原 正希Project Leader
須藤 望Project Member
川北 大洋Project Member
馬場 悠輔Project Leader
俵 健太郎Project Leader
森田 靖之Project Leader
宮田 龍弥Project Leader
藤間 朋久Project Member
山路 湧Project Leader
二瓶 雄太Project Member

external

清水建設株式会社Partner
3x3 Lab Future(エコッツェリア)Partner
株式会社日建設計Partner
横山 明日香(日建設計)Partner
吉備 友理恵(日建設計)Partner
林 厚見(SPEAC)Mentor
吉村 有司(東京大学 先端科学技術研究センター)Mentor
斎藤 寛彰(戸田建設)Mentor
秋吉 浩気(VUILD)Mentor
石川 貴之(日建設計)Mentor
髙堰 うらら(オモテテ株式会社)Mentor
青木 隆幸(SORABITO)Guest
T.G.Venue