建築学生たちが「次世代のつくり手」として足場を築いた8週間
建築や都市を学ぶ学生にとって、自らのアイデアを社会で実験・実装するハードルは高く、多くの優れたビジョンがプレゼンボードの中だけで完結してしまう。「ASIBA Creative Incubation 1期」は、こうした課題を打破すべく学生有志によって立ち上げられた、建築領域に特化したインキュベーションプログラムだ。 選考を通過した約10名が集い、8週間にわたるリサーチ・事業構想・実証実験のサイクルを回した。クライアントからの与件やコンペを待つのではなく、自ら描きたい社会像を提示し、事業として広げていく起業家的な姿勢を目指す。第一線のメンター陣による伴走のもと、建築学生たちが「次世代のつくり手」としての足場を築こうとした自主ゼミ的プロジェクト。

FIG.1 © Tamao Nishiyama
1-外部パートナー|2-場所・資金|3-メンタリング|4-運営サポート・コミュニケーション|5-実践|6-プロジェクトチーム/クルーとしてジョイン
DIAGRAM
1.外部パートナー
2.場所・資金
3.メンタリング
4.運営サポート・コミュニケーション
5.実践
6.プロジェクトチーム/クルーとしてジョイン
2023年秋、東京大学・早稲田大学建築学科生の有志が企画・運営する、建築系学生を対象とした都市建築領域に特化したインキュベーション・プログラム「ASIBA」(Architecture Studio for Impact Based Action)の第1期を開催した。約10名の参加者が9チームに分かれ、毎週土曜の8週間で、リサーチから事業構想、実証実験までのサイクルを回した。ASIBAという名前のとおり、建築系学生の「未来へのビジョン」を社会実装へとつなぐ最初の足場(ASIBA)となることを目指した、始まりのプログラムである。
気候変動、人口減少、社会の分断。都市と人間環境が重大な課題に直面するなかで、建築家という職能の再編成が求められている。しかし、建築系学生が描く「未来へのビジョン」を社会に対して実験・実装する障壁は依然として大きい。クリエイティビティを持ったアイデアがプレゼンボードの中で完結し、学内の評価軸に回収されてしまう。才能ある若者が自己否定に陥り、業界から離脱していく。ASIBAはこの構造に対する問い直しとして生まれた。クライアントの与件やコンペティションを待つのではなく、自ら描きたい社会像を提示し、プロトタイプをつくり、実効性を持った形で一般化していく。MITdesignXを参照しながら、起業家的な姿勢を持つ「次世代アーキテクト」の輩出を掲げた。

FIG.2 ステートメント
8週間のプログラムは、ゲストレクチャー・ワークショップ・エスキス発表を毎週繰り返す構成で進行した。建築系社会起業家やデベロッパーがメンターとして参画し、社会的インパクトとビジネスデザインの両面から伴走支援を行った。
第4週には中間講評会を開催。最終週には、最終講評会「GROUNDBREAKING」を開催。8週間で磨き上げた事業案を協力企業や関係者に向けて発表し、実証実験(PoC)に進む強度のある事業案にはPoC運用資金を獲得する機会が設けられた。

FIG.3
9チームが、それぞれの課題意識を起点に都市建築領域の社会実装を目指した

FIG.4 馬場によるプロトタイプ
建築家/アントレプレナーの先駆者の方たちに、各会でのレクチャーやプロジェクトに対するアドバイスをいただいた。
東京大学・早稲田大学の建築系有志5名が運営事務局を務めた。(情報は当時のもの)

FIG.5
2ヶ月の成果発表の場として、GROUNDBREAKINGと名付けた1DAYカンファレンスを開催した。建築や都市領域の社会課題が複雑化するなか、「建築を志す者に今何ができるか」を問い直す。
社会実装をテーマにしたトークセッションと、8週間のインキュベーションプログラム「ASIBA」1期生によるファイナルピッチを軸に構成。建築・都市分野が培ってきた妄想力を武器に、社会実装の新たな形を第一線の実践者たちと共に模索しました。会場となったのは、清水建設のイノベーション拠点「温故創新の森 NOVARE」。施設内部の見学ツアーも実施し、建築・業界・世代を横断した交流の場となりました。

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CREDIT
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